SIMO Switching Regulators: Extending Battery Life for Hearables and Wearables
SIMO Switching Regulators: Extending Battery Life for Hearables and Wearables
要約
消費者は、ヒアラブル、ウェアラブル、およびその他の超
小型電子機器に対して、それらの小型形状にもかかわらず、
長いバッテリ寿命を期待します。しかし、明らかに、機器
のサイズによってバッテリ容量は制限されます。このホワ
イトペーパーは、単一インダクタマルチ出力(SIMO)パワー
コンバータアーキテクチャに基づくスイッチングレギュ
レータを使用することによって、そのスペースの一部を取
り戻す方法を解説します。SIMOアーキテクチャと、レギュ
レータの低自己消費電流の組み合わせによって、ICはスペー
スに制約のある電子製品のバッテリ寿命を延長することが
できます。
このホワイトペーパーは、SIMO技術とその動作の仕組みを
より深く理解するために役立ちます。また、消費電力と全
体の部品数を削減するとともに、従来のソリューションの
半分以下のスペースで同等の機能を提供する、SIMOレギュ
レータを備えたパワーマネージメントIC (PMIC)についても
解説します。
はじめに
小型機器のバッテリ寿命の要求への対応
長時間のハイキングや大規模プロジェク トの午後の作業のためにイヤホンを使う とき、途中で停止してイヤホンを充電す る必要が発生するのは面白くありません。 ヒアラブル、ウェアラブル、およびその 他の小型、バッテリ給電の電子機器には、 長時間にわたる高信頼性の動作が期待さ れます。
設計の観点から見ると、これらのユーザー の期待は無理難題です。形状の制約によっ て小型リチウムイオンバッテリを使う必 要があり、充電サイクル間に長時間持続 する必要があるため、節約して使用する ことが必要です。さらに、電源はデザイン 内のサブシステムの個別で多様な電圧要 件に対応する必要があります。
SIMOアーキテクチャは、他の方式では複 数のディスクリート部品が必要になる機 能を内蔵し、これらのシステムに最適な ソリューションを提供します。以下では、 SIMOアーキテクチャとは何で、バック ブーストレギュレータの場合どのように 動作するのかをさらに詳しく説明します。
SIMOアーキテクチャ概要
従来の複数スイッチングレギュレータト ポロジでは、各スイッチングレギュレー タに個別のインダクタが必要です(図1)。 インダクタは物理的に大きく高コストで、 小型形状の製品にとって不利になります。 他のオプションはリニアレギュレータを 使用することで、これは高速、小型、低 ノイズですが、消費電力が大きくなりま す。また、複数のロードロップアウトレ ギュレータ(LDO)を、DC-DCコンバータ と組み合わせて使用するというハイブ リッドの代案もあります。しかし、この 構成では消費電力と発熱は両者の中間に なりますが、やはりLDOのみより大きい デザインになります。
図1: バックブーストスイッチングレギュレータの従来のアーキテクチャ。
注目のバックブーストSIMOコンバータは、 1つのインダクタを使用して、広い出力電 圧範囲にわたって最大3つの出力電圧を安 定化することができます。バックブース トトポロジは、バックのみのSIMOに比べ て各チャネルのサービスに必要な時間が 少ないため、インダクタをより有効に活 用するために役立ちます。バックのみの SIMOの弱点は、1つまたはそれ以上の出 力電圧が入力電圧に近づくと顕著になり ます。バックのみのSIMOは、出力電圧が バッテリ電圧に近づくと問題が生じます。 このとき、バックのみのSIMOは非常に長 時間にわたってインダクタを必要とする ため、他のチャネルに影響します。
場合によっては、インダクタはシステム 内で必須です。LDOは小型ですが、それ 自体では決してブースト機能を提供する ことができません。SIMOは1つのインダ クタのみを必要とするため、少なくとも1 つのブースト電圧を必要とするソリュー ションには、ほとんどの場合バックブー ストSIMOの方が適しています。
図2: SIMOアーキテクチャのブロック図。
インダクタ飽和電流(Isat)は、インダクタン スがその値の70%に低下するときの電流 の基準で、特定のコア材料および構造に対してインダクタのコアサイズによって 決まります。SIMOアーキテクチャでは1 つのインダクタを使用するため、個別の DC-DCコンバータを使用する場合に比べ てさまざまな利点が提供されます。
- システムによって許容される場合、高さ方向をより有効利用することが可能。
- 従来のソリューションほど多数のイ ンダクタを使用する必要がないた め、コスト節減と実装面積が向上。
- 異なる機能は通常は同時に使用され ない場合、時間多重が可能。この利 点は、必要な各出力の合計より総消 費電流が少ない場合に明確に表れま す。たとえば、異なるレール電圧を 使用する事象が順番に発生する場合 です。たとえば一部のBluetoothシ ステムでは、機能を有効化する前に データをダウンロードすることが可 能です。つまり、無線に関連する電 力は、有効化される機能とは異なる タイミングでオンになります。その ため、SIMOインダクタに必要な総 Isatは、個別のコンバータに必要な 値より小さくなります。
- RMS (インダクタの電流定格)−各 チャネルを時間多重しなくても、各 機能のピーク消費電力は同時に発生 しない場合が多いため、必要なイン ダクタの総Isatが低減します。
SIMOアーキテクチャの妥協点の克服
SIMOアーキテクチャを使用する場合、ト レードオフが伴います。そのため、設計 に対する思慮深い取り組みが重要です。 たとえば、1つのインダクタが各出力に交 互に大量のエネルギーを供給するため、 多くの場合に出力電圧リップルは高くな ります。また、SIMOへの負荷が大きい場 合、時間が制約され、各チャネルへのサー ビスに遅延が発生して、出力電圧リップ ルがさらに増大する可能性があります。 より大きい出力コンデンサを使用するこ とによって、最終的な実装面積/BOMの 利点を維持しつつこれらの出力電圧リッ プルの発生源をオフセットすることがで きます。
マキシムの新しいパワーマネージメントIC (PMIC)のMAX77650およびMAX77651 は、これらのトレードオフの間の注意深 いバランスを提供します。これらのPMIC は、マイクロパワーSIMOバックブースト DC-DCコンバータとともに設計されまし た。PMICに内蔵された150mAのロード ロップアウトレギュレータ(LDO)は、オー ディオなどのノイズに敏感なアプリケー ション用にリップル除去を提供します。 シリアルデータライン(SDA)およびシリ アルクロックライン(SCL)と直列のオプ ションの抵抗(24Ω)は、バス信号のクロ ストークとアンダーシュートを最小限に 抑えるとともに、バスライン上の高電圧 スパイクからデバイスの入力を保護しま す。これらのレギュレータの各ブロック は低自己消費電流(出力当り1µA)で、最終 アプリケーションのバッテリ寿命延長に 寄与します。ICは常に断続コンダクション (DCM)モードで動作するため、インダク タ電流は各サイクルの最後でゼロになり、 クロストークがさらに最小化され発振が 防止されます。
各出力には、入力電圧以上、以下、また は同じ出力電圧を生成するバックブース ト構成の利点があり、SIMOコンバータは バッテリの電圧範囲全体を利用します。 各出力のピークインダクタ電流は設定可 能であるため、効率、出力リップル、電 磁干渉(EMI)、PCB設計、および負荷能力 間のバランスを最適化することができま す。これらのICの効率の定格は、3.3V出 力時に85%以上です。
このSIMOアーキテクチャは、低消費電力 と形状の間の最適なバランスを提供しま す。低消費電力は、大量の放熱が不可能 な超小型アプリケーションの場合に非常 に重要です。図3は、DC-DCコンバータと 複数のLDOまたは単に複数のDC-DCコン バータを利用する構成と比較して、発熱 および形状の面でMAX77650 PMICがど のように最適であるかを示しています。
図3: MAX77650 PMICは、ヒアラブルやウェアラブルなどのスペースに制約のある、 バッテリ給電の機器用に低発熱と小型実装面積を提供します。
MAX77650/1のSIMO制御方式は、すべ ての出力が適切なタイミングでサービス を受けることを確保する独自のコント ローラを含んでいます。サービスを必要 とするレギュレータがない場合、ステー トマシンは単に低電力状態で停止します。 レギュレータがサービスを必要としてい ることをコントローラが認識すると、ピー ク電流制限に達するまでインダクタを充 電します。その後、インダクタのエネル ギーは電流がゼロになるまで関連する出 力に放電されます。複数の出力チャネルが 同時にサービスを必要とする場合、コン トローラは全スイッチングサイクルを利 用する出力がないことを確保します。代 わりに、サービスを必要とするすべての 出力間でサイクルがインタリーブされま す。サービスを必要としない出力はスキッ プされます。
また、SIMOアーキテクチャは突入電流を 最小限に抑えるソフトスタート機能も提 供します。このソフトスタート機能は、 起動時の出力電圧のスルーレートを制限 することによって実装されています。シ ステムペリフェラルの完全な、適切なタ イミングのパワーダウンを実現するため に、各SIMOバックブーストチャネルは SIMOレギュレータの状態に基づいて自動 的に各SIMOチャネルに対して個別にイ ネーブルされるアクティブ放電機能を備 えています(アクティブ放電機能はI2Cを 介してディセーブルすることも可能です)。
電力性能:SIMOと従来のアーキテクチャの比較
図4は、MAX77650を利用する可能な電 力ツリーのブロック図を示しています。 見て分かるように、4つの負荷のうちの3つ は高効率SIMOスイッチングレギュレータを 介してリチウムイオンバッテリに接続さ れています。第4の負荷はLDOによって 2.05VのSIMO出力から給電され、90.2% の効率を達成します(1.85V/2.05V)。
図4: MAX77650の電力ツリー(各レギュレータの出力電圧、 負荷電流、効率、および消費電力)
表1は、従来のアーキテクチャとSIMOアーキ テクチャの電力性能を比較しています(詳 細な知見については、下記の「さらに詳し く」の項に含まれているデザインソリュー ション 「Hearables Get Longer Life with SIMO」のリンクを参照してください)。 SIMO計算器が利用可能で、SIMOのパラ メータに関連するトレードオフの探求に 役立ちます。計算器へのリンクについて は、下記の「さらに詳しく」の項を参照し てください。
パラメータ | 従来のソリューション | SIMO | SIMOの優位性 |
リチウムイオン バッテリ電流 |
49mA | 43.5mA | SIMOは5.6mA節減 |
システム効率 | 69.5% | 78.4% | SIMOは8.9%効率的 |
最小リチウムイオン バッテリ電圧 |
3.4V due to 3.3V LDO | 2.7V | SIMOはより多くの放電が可能 |
SIMOの出力電圧リップルは、以下の項目の関数です。
- 出力コンデンサ
- インダクタンス
- 出力電圧の設定
- ピーク電流制限の設定
SIMOで利用可能な出力電流は、以下の項目の関数です。
- 入力電圧
- 出力電圧
- ピーク電流制限の設定
- 他のSIMOチャネルの出力電流
SIMOのスイッチング周波数は、以下の項目の関数です。
- 入力電圧
- 出力電圧
- ピーク電流制限の設定
- インダクタンス
このスプレッドシートベースのツールの 計算タブで、単に最上部の行セクション 内の対応する値のセルにシステムパラ メータを入力することができます。最も 関心があると思われる計算値は黄色でハ イライト表示されます。パラメータが通 常の領域の範囲外と考えられる場合、そ のセルは赤でハイライト表示されます。 コメントセクションには、設計を強化す る方法についてのガイダンスが提供され ます。
まとめ
ヒアラブル、ウェアラブル、および同様に小型の、バッテリ動作の電子機器の場合、 長いバッテリ寿命はお客様の満足に不可欠です。従来のバックブーストトポロジと比 べて、SIMOアーキテクチャは部品数を削減し、多くの場合バッテリ寿命を延長します。 このホワイトペーパーでは、超低電力の、スペースに制約のあるアプリケーションの 課題への対応に最適な、SIMOスイッチングレギュレータを内蔵したPMICについて検 討しました。
さらに詳しく
- MAX77650/MAX77651の評価キットでSIMOバックブーストレギュレータおよびPMICのその他のコンポーネントを評価する.
- MAX77650の詳細について.
- デザインソリューション 「Hearables Get Longer Life with SIMO」を読む.
この記事に関して
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