MAX17616/MAX17616Aは、入力電圧フォルトおよび出力過電流フォルトに対する幅広いシステム保護境界を設定できる機能を備えています。(正極性の)入力電圧フォルトについて、オン抵抗の低い(代表値20mΩ)内蔵nFETにより、最大+80V(逆電流保護なし)または+75V(逆電流保護あり)まで保護できます。これらのデバイスでは、外付けの分圧器を使用して低電圧ロックアウト(UVLO)の閾値を設定できます。MAX17616は設定可能な過電圧ロックアウト(OVLO)を備えています。一方、MAX17616AはOVFBピンで設定可能な出力電圧クランプ機能を備えており、入力で過渡サージ現象が発生した際に出力電圧制限レギュレーションを適用できます。3V~80Vの動作範囲全体にわたり、入力低電圧と過電圧の保護(MAX17616)/出力電圧クランプ機能(MAX17616A)を設定できます。
入力の逆極性保護は、これらのデバイスによって制御される外付けnFETを使用して実現されます。逆極性電圧の保護能力は、動作中の負荷バス電圧(VOUT)と外付けnFETの電圧遮断能力に依存します。例えば、VOUT = 30Vで-55Vの入力電圧範囲まで保護する場合、定格85Vの外付けnFETが必要となります。外付けnFETは、オプションの逆電流保護にも必要となります。逆電流保護で外付けnFET(Q1)を使用する場合、これらのデバイスはQ1をオフにして、負荷からソースへの逆電流を防止します。逆電流保護機能の逆電流閾値と順方向バイアス特性は、OR接続および電源マルチプレクサのアプリケーションに最適なダイオード機能を実現できるように調整されます。逆極性保護および逆電流保護が不要な場合は、SNピンとGNピンをINに接続する必要があります。これらのデバイスは、出力端子間の誤配線により、出力に逆極性が印加されてしまった場合でも耐性があります。
これらのデバイスの電流制限を設定するには、SETIピンとGNDの間に抵抗を接続します。電流制限は0.7A~7.0Aの範囲で設定できます。本デバイスを通過する電流が設定した電流制限に達するか、またはこの設定値を超えると、電流を制限するために内部nFETの抵抗が調整されます。本デバイスには、連続モード、自動再試行モード、ラッチオフ・モードの3つの電流制限動作モードがあります。更に、これらのデバイスでは、起動イベント時の起動突入電流制限も設定可能です。これにより、制限対象の電源から容量性または負インピーダンスの出力負荷に突入電流が流入する事態を防止できます。
IMONピンは、通常の動作時にデバイス電流に比例する電流を示します。IMON抵抗(IMONとGNDの間)と組み合わせることで、IMONピンはデバイス電流に比例する電圧を示します。この電圧をモニタリング・システムが読み取ることで、本デバイスの瞬時電流を記録できます。IMONとGNDの間に100nFのセラミック・コンデンサを配置します。
コントローラ監視システムによって入力ENをイネーブルすることで、本デバイスのオン/オフを切り替えることができます。これによってコントローラ監視システムは、接続された負荷への電力供給をオンまたはオフにすることができます。
これらのデバイスは接地喪失保護機能を備えています。接地喪失フォルト・イベントが発生した場合、つまり、冗長安全アプリケーションで安全接地用ヒューズが切れた場合、デバイスの動作を安全にオフにすることができます。
これらのデバイスは、動作やフォルトの状態を示すステータス通知信号(SMBALERT)を備えています。さらに、パワー・グッド信号(PGOOD/TJ)も備えており、監視システムはこの信号を使用して下流の負荷をイネーブル/ディスエーブルします。PGOOD/TJはオープン・ドレイン・ピンであり、適切なシステム・インターフェースへの外付けプルアップ抵抗が必要です。
これらのデバイスは、出力低電圧検出閾値を設定可能であり、出力電圧がOUTUV立上がり閾値を下回った際の再起動応答を制御できます。本デバイスには、過剰な消費電力に対する内部サーマル・シャットダウン保護機能も備わっています。
これらのデバイスはPMBus互換のシリアル・ペリフェラル・インターフェースを備えており、デバイスの動作を制御し、システム・レベルのパラメータを監視するためのコマンドを使用できます。
アプリケーション
- 入力電圧および出力過電流の保護
- 接地喪失保護
- サージ保護