概要
設計リソース
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評価用ボード
型番に"Z"が付いているものは、RoHS対応製品です。 本回路の評価には以下の評価用ボードが必要です。
- EVAL-CN0359-EB1Z ($141.24) Fully Automatic High Performance Conductivity Measurement System
機能と利点
- 自動の高精度導電率測定システム
- 自己充足型
- マイクロプロセッサ制御
- 温度補償式
参考資料
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CN0359 Conductivity Measurement System User Guide2018/10/16WIKI
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CN-0359: 全自動の高性能かつ高効率な測定システム (Rev. 0)2023/03/28PDF261 K
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自動校正機能を備える 導電率測定システム2016/11/01 アナログ・ダイアログ
回路機能とその特長
図1に示す回路は、マイクロプロセッサ制御の自己充足型高精度導電率測定システムで、液体のイオン含有量測定、水質分析、工業の品質管理、化学分析などに適しています。
慎重に選択した高精度シグナル・コンディショニング・コンポーネントを組み合わせることにより、0.1μSから10S(10MΩ~0.1Ω)までの導電率範囲で0.3%以上の精度が得られます。校正は不要です。
100Ωまたは1000Ωの白金(Pt)測温抵抗体(RTD)の自動検出機能を備えており、室温を基準にした導電率を測定できます。
このシステムには2線または4線の導電率セルのほか、2線、3線、または4線のRTDを使用でき、さらに高い精度と柔軟性が得られます。
この回路は、導電電極を損傷するような極性電圧を避けるために、最小限のDCオフセットで高精度のAC励起電圧を生成します。AC励起の振幅と周波数はユーザがプログラムできます。
革新的な同期サンプリング技術により、励起電圧のピークtoピーク振幅と電流をDC値に変換して精度を確保し、高精度アナログ・マイクロコントローラ内蔵のデュアル24ビットΣ-Δ ADCを使用して処理を容易にします。
直感的に操作できるユーザ・インターフェースは、LCDディスプレイとエンコーダ・プッシュボタンで構成されています。この回路は、必要に応じRS-485インターフェースを使用してPCと通信することができ、4V~7Vの単電源で動作します。

回路説明
導電率セル用の励起矩形波は、ADuCM360 マイクロコントローラのPWM出力を使用し、+VEXC電圧と−VEXC電圧の間でADG1419をスイッチングすることによって生成します。矩形波のデューティ・サイクルが正確に50%で、DCオフセットが非常に小さい点が重要です。DCオフセットは、値が小さくても時間の経過とともにセルを損傷させる恐れがあります。
図2に示すように、+VEXC電圧と−VEXC電圧はADA4077-2 オペアンプ(U9AとU9B)によって生成され、その振幅はADuCM360のDAC出力によって制御されます。

ADA4077-2のオフセット電圧(代表値)は15μV(Aグレード)、バイアス電流は0.4nA、オフセット電流は0.1nA、最大出力電流は±10mAで、ドロップアウト電圧は1.2V未満です。U9Aオペアンプの閉ループ・ゲインは8.33で、ADuCM360の内部DAC出力(0V~1.2V)を0V~10Vの+VEXC電圧に変換します。U9Bオペアンプは、+VEXCを変換して−VEXC電圧を生成します。R22は、1次バイアス電流を相殺するために、R22 = R24||R27となるように選択されています。U9Aの15μVのオフセット電圧による誤差は約(2 × 15µV) ÷ 10V = 3ppmです。したがって、反転段により発生する主な誤差は、R24とR27の抵抗マッチング誤差です。
ADG1419はオン抵抗2.1ΩのSPDTアナログ・スイッチです。オン抵抗平坦特性は±10Vの範囲で50mΩであり、±VEXCからの対称矩形波生成に最適です。ADG1419によって生じる対称誤差は、代表値で50 mΩ ÷1 kΩ = 50 ppmです。抵抗R23は、センサーに流れる最大電流を10 V/1 kΩ = 10 mAに制限します。
セルに加わる電圧V1は、AD8253 計装アンプ(U15)によって測定されます。U15への正入力はADA4000-1(U14)によってバッファされます。ADA4000-1を選択したのは、バイアス電流が5pAと小さく、低導電率に対応する低電流測定時の誤差を最小限に抑えることができるからです。AD8253の負入力をバッファする必要はありません。
U14とU15のオフセット電圧は同期サンプリング段によって除去され、測定精度には影響しません。
U15とU18は、10MHz、20V/μsのプログラマブル・ゲイン(G = 1、10、100、1000)計装アンプAD8253で、ゲイン誤差は0.04%未満です。AD8253のスルーレートは20V/μsで、 G = 1000の時の0.001%までのセトリング時間は1.8μs、同相ノイズ除去比は代表値で120dBです。
U19(ADA4627-1)段は高精度電流-電圧コンバータで、センサーに流れる電流を電圧に変換します。ADA4627-1のオフセット電圧は120μV(代表値、Aグレード)、バイアス電流1pA(代表値)、スルーレート40V/μsで、0.01%までのセトリング時間は550nsです。このデバイスはバイアス電流とオフセット電圧が小さいので、この段に最適です。120μVのオフセット誤差によって生じる対称誤差は、120μV/10V = 12ppmに過ぎません。
U22AバッファとU22B(AD8542)バッファは、それぞれ1.65Vのリファレンスを計装アンプU18とU15に供給します。
以下では、電圧チャンネル内信号パスの残り部分(U17A、U17B、U10、U13、U12A、U12B)について説明します。電流チャンネル(U17C、U17D、U16、U21、U20A、U20B)の動作は同じです。
ADuCM360は、ADG1419用のPWM0矩形波スイッチング信号、および同期サンプリング段用のPWM1およびPWM2同期信号を生成します。セル電圧と3つのタイミング波形を図3に示します。

AD8253計装アンプ(U15)の出力は、2つの並列トラック&ホールド回路を駆動します。これらの回路は、ADG1211(U17A/U17B)、直列抵抗(R34/R36)、ホールド・コンデンサ(C50/C73)、およびユニティゲイン・バッファ(U10/U13)で構成されています。
ADG1211は低チャージ・インジェクションのクワッドSPSTアナログ・スイッチで、±15V電源、最大入力信号±10Vで動作します。スイッチングによる最大チャージ・インジェクションは4pCで、これにより生じる電圧誤差は4 pC ÷ 4.7 µF = 0.9 µVに過ぎません。
U10トラック&ホールド・バッファはPWM1信号によってセンサー電圧の負サイクルをトラックし、さらにそれを次のトラック・サイクルまで保持します。したがって、U10トラック&ホールド・バッファの出力は、センサー電圧矩形波の負振幅に相当するDCレベルです。
同様に、U13トラック&ホールド・バッファはPWM2信号によってセンサー電圧の正サイクルをトラックし、さらにそれを次のトラック・サイクルまで保持します。したがって、U13トラック&ホールド・バッファの出力は、センサー電圧矩形波の正振幅に相当するDCレベルです。
トラック&ホールド・バッファ(ADA4638-1)のバイアス電流は45pA(代表値)で、ADG1211スイッチの漏れ電流は20pA(代表値)です。したがって、4.7μFホールド・コンデンサのワーストケース洩れ電流は65pAです。励起周波数が100Hzの場合の周期は10msで、65pAの洩れ電流による半周期(5ms)での電圧降下は(65pA × 5ms)÷ 4.7µF = 0.07µVです。
ADA4638-1ゼロ・ドリフト・アンプのオフセット電圧はわずか0.5μV(代表値)で、これによる誤差は無視できます。
ADC前のシグナル・チェーン内の最終段はADA4528-2反転アッテネータ(U12AとU12B)で、ゲインは−0.16、同相出力電圧は+1.65Vです。ADA4528-2のオフセット電圧は0.3μV(代表値)であり、これによる誤差は無視できます。
このアッテネータ段は最大±10Vの信号を±1.6Vまで下げ、同相電圧は+1.65Vです。この範囲は、AVDD電源が3.3Vの時のADuCM360 ADC入力の範囲0V~3.3V(1.65V±1.65V)に対応しています。
アッテネータ段はノイズ・フィルタリング機能も有しており、-3dB周波数は約198kHzです。
電圧チャンネルの差動出力VOUT1は、ADuCM360のAIN2入力とAIN3入力に加えられます。電流チャンネルの差動出力VOUT2は、ADuCM360のAIN0入力とAIN1入力に加えられます。
式7は、導電率測定がG1、G2、R47、およびVOUT2とVOUT1の比に依存することを示しています。したがって、ADuCM360内のADCに高精度のリファレンスは不要です。
AD8253のゲイン誤差(G1とG2)は最大0.04%で、R47には許容誤差0.1%の抵抗を使用します。
この点からすると、VOUT1とVOUT2のシグナル・チェーン内の抵抗が全体的なシステム精度を決定します。
ソフトウェアは、それぞれのAD8253のゲインを次のように設定します。
- ADCコードがフルスケールの93.2%を超えると、AD8253のゲインが次のサンプルでは1/10に減らされます。
- ADCコードがフルスケールの9.13%を下回ると、AD8253のゲインが次のサンプルでは10倍に増やされます。
システム精度の測定
4個の抵抗(R19、R20、R29、R31)は、VOUT1電圧チャンネルの精度に影響します。 5個の抵抗(R47、R37、R38、R48、R52)は、VOUT2電圧チャンネルの精度に影響します。
9個すべての抵抗の許容誤差が0.1%だとして、AD8253の0.04%のゲイン誤差を含めると、ワーストケースの誤差分析の結果は約0.6%になります。この分析はCN-0359 Design Support Packageに含まれています。
実際には、抵抗はRSSの形で組み合わされることが多く、正または負のシグナル・チェーンの抵抗許容誤差によるRSS誤差は√5 × 0.1% = 0.22%となります。
精度測定は、導電率セルをシミュレートするために、1Ω~1MΩ(1S~1μS)の高精度抵抗を使用して行いました。図4はその結果で、最大誤差は0.1%未満です。

RTD測定
導電率測定システムの精度を保つには、温度補正を行う必要があります。一般的な溶液の温度係数は1%/℃から3%/℃以上の範囲で変動するので、調整可能な温度補正機能付きの測定装置を使用する必要があります。さらに、溶液の温度係数はやや非線形で、通常は実際の導電率とともに変動します。したがって、実際の測定温度で校正を行えば最も高い精度が得られます。
ADuCM360は、ソフトウェアで設定可能な2個の励起電流源を内蔵しており、10μA~1mAの電流出力を提供するように設定することができます。マッチング精度は0.5%以上です。この電流源により、ADuCM360ではPt100またはPt1000 RTDの2線、3線、または4線測定を容易に行うことができます。また、セットアップ手順において、RTDがPt100なのかPt1000なのかをソフトウェアが自動的に検出します。
以下では、いくつかのRTD構成の簡略回路図を示して、その動作について説明します。すべてのモード切り替えはソフトウェアによって行われます。外部のジャンパ設定を変更する必要はありません。
4線RTDの構成を図5に示します。

リモートRTDへのリードの寄生抵抗はRPで示されています。励起電流(IEXC)は高精度1.5kΩ抵抗とRTDを通って流れ、オンチップADCが抵抗両端の電圧(V7 − V8)を測定します。
R13抵抗とIEXC励起電流の値は、AIN7におけるADuCM360の最大入力電圧がAVDD − 1.1 Vを超えないように選ぶことが重要です。そうしないと、IEXC電流が正常に機能しません。RTD電圧は、AIN6とAIN5に接続した2本の検出リードを使用して正確に測定されます。入力インピーダンスは約2MΩ(非バッファ・モード、PGAゲイン = 1)で、検出リード抵抗を流れる電流によって生じる誤差は最小限に抑えられます。次いで、ADCがRTD電圧(V6 − V5)を測定します。
以上から、RTD抵抗は次式で計算できます。
測定はレシオメトリックで、正確な外部リファレンス電圧には依存せず、1.5kΩ抵抗の許容誤差にのみ依存します。さらに、4線構成なのでリード抵抗に伴う誤差がなくなります。
ADuCM360にはバッファ入力オプションと非バッファ入力オプションがあります。内部バッファが有効になっている場合は、入力電圧を100mVより高くする必要があります。1kΩ/36Ωの抵抗分圧器はRTDに115mVのバイアス電圧をかけ、これによってバッファ動作が可能になります。非バッファ・モードではJ3の端子4を接地できます。ノイズ低減用のグラウンド・シールドに接続してください。
図6に示すように、3線接続はもうひとつの一般的なRTD構成で、リード抵抗による誤差を無くします。

マッチングした2つめのIEXC電流源(AIN5/IEXC)が、端子3に直列接続されたリード抵抗に電圧を発生させ、これが、端子1に直列接続されたリード抵抗の電圧降下を相殺します。したがって、測定されたV8 − V5電圧にはリード抵抗誤差は含まれません。
図7は2線RTD構成で、リード抵抗の補正はありません。

2線構成は最も低コストの回路で、それほど重要度の高くないアプリケーションや短距離のRTD接続、Pt1000などの高抵抗RTDに適しています。
導電率理論
物質や液体の抵抗率ρは、その物質で構成され、完全な導通性を有する接触面を対面に持つ立方体の抵抗として定義されます。他の形状における抵抗Rは次式で計算されます。
ここで、
Lは接触面間の距離
Aは接触面の面積
抵抗率の測定単位はΩcmです。1Ωcmの物質は、1cm×1cm×1cmの立方体の対面を接触面とした時に1Ωの抵抗を持ちます。
コンダクタンスは抵抗の逆数で、導電率は抵抗率の逆数です。コンダクタンスの測定単位はシーメンス(S)で、導電率の測定単位はS/cm、mS/cm、またはμS/cmです。
すべての水溶液は、ある程度の電気を通します。純水に塩、酸、塩基などの電解質を加えると、導電率が増大します。
この回路ノートにおけるYは、S/cm、mS/cm、またはμS/cm単位で導電率を表わす一般的な記号です。しかし、多くの場合は使いやすいように距離項を省略し、単にS、mS、またはμSと表されます。
導電率システムは、図8に示すように、水溶液中に浸漬された導電率セルと呼ばれるセンサーに接続された電子回路によって、導電率を測定します。

この電子回路はセンサーに交流電圧を加え、それによって生じる電流の大きさを測定します。この電流の大きさが導電率に関係しています。導電率の温度係数は非常に大きい(最大で4%/°C)ので、標準温度(通常は25℃ = 77°F)に合わせて指示値を調整するために、回路には内蔵型の温度センサーが組み込まれています。水溶液を測定するときは、水自体の導電率の温度係数を考慮しなければなりません。正確な温度補正を行うには、温度センサーと補正回路をもうひとつ使用する必要があります。
接触型のセンサーは、通常、互いに絶縁された2つの電極で構成されています。これらの電極には316ステンレス鋼、チタン・パラジウム合金、グラファイトなどを使用することが多く、既知のセル定数に合わせてサイズと間隔が設定されます。理論的には、1.0/cmのセル定数は、それぞれ面積が1cm2で1cmの間隔に置かれた電極に相当します。セル定数は、所定の動作範囲の測定システムに合わせる必要があります。たとえば、セル定数1.0/cmのセンサーを導電率1μS/cmの純水中で使用する場合、セルの抵抗は1MΩになります。これに対し、同じセンサーを海水中で使用すると、抵抗は30Ωになります。抵抗比が非常に大きいので、1つだけのセル定数で、このように極端な値を通常の計測器によって正確に測定することは困難です。
1μS/cmの溶液を測定する場合、セルは、大面積の電極を狭い間隔で設置するように構成されます。たとえば、セル定数0.01/cmのセルを使用すると、測定セル抵抗は1MΩではなく約 10,000Ωとなります。1MΩを正確に測定するよりも10,000Ωを正確に測定する方が簡単です。したがって、異なるセル定数のセルを2つ使用すれば、超純水と導電率の高い海水の両方に対して、測定装置を同じセル抵抗範囲で使用することができます。
セル定数Kは、電極間の距離Lと電極面積Aの比率として定義されます。
導電率セルには、図9に示すように2電極のタイプと4電極タイプがあります。電極は「極」とも呼ばれます。

2極センサーは低導電率の測定に適しており、精製水や各種の生物学的製剤、薬剤などの液体に使われます。4極センサーは、廃液や海水の分析といった高導電率の測定に適しています。
2極セルのセル定数は概ね0.1/cm~1/cmの範囲で、4極セルでは1/cm~10/cmです。
4極セルには、測定に干渉する電極の分極と電界効果に起因する誤差がありません。
実際の電極構成は、図8に示す単純な平行板ではなく、平行リングや同軸導体、その他の形態を取ることもあります。
セルのタイプに関わらず、どの電極にもDC電圧を加えないことが重要です。DC電圧を加えると、液体中のイオンが電極表面に蓄積して分極や測定誤差が生じ、電極を損傷させる恐れもあります。
同軸センサーの場合同様、シールド付きのセンサーには特に注意してください。シールドは、液体が入れられている金属容器と同じ電位に接続する必要があります。容器が接地されている場合、シールドはJ5のピン5(回路ボードのグラウンド)に接続する必要があります。
最後の注意事項として、セルの定格励起電圧値または定格励起電流値を超えないようにします。CN-0359の回路は励起電圧を100mV~10Vにプログラムでき、R23(1kΩ)直列抵抗が最大セル電流を10mAに制限します。
電源回路
システム要件を単純にするために、必要なすべての電圧(±15Vと+3.3V)は、図10に示すように4V~7Vの単電源から生成されます。
ADP2300 降圧レギュレータは、ボード用の3.3V電源を生成します。設計は、ダウンロード可能なADP230x降圧レギュレータ設計ツールに基づいています。
ADP1613 昇圧レギュレータは、+15V安定化電源と−15V非安定化電源を生成します。−15V電源はチャージ・ポンプで生成されます。この設計は、ADP161x昇圧レギュレータ設計ツールに基づいています。
電源の選択および設計の詳細はwww.analog.com/ADIsimPowerに記載されています。
スイッチング・レギュレータのノイズがアナログ回路に入り込むのを防ぐために、正しいレイアウト手法と接地手法を使用してください。その他の詳細については、Linear Circuit Design Handbook(リニア回路設計ハンドブック)、Data Conversion Handbook(データ変換ハンドブック)、MT-031チュートリアル、MT-101チュートリアルをご覧ください。

図11はLCDバックライト・ドライバ回路です。

AD8592 オペアンプは、その半分ずつがそれぞれ60mA電流源として動作し、LCDバックライト電流を供給します。AD8592は最大250mAのソースとシンクが可能で、100nFのコンデンサがソフト・スタートを保証します。
ソフトウェアの操作とユーザ・インターフェース
EVAL-CN0359-EB1Zには、導電率測定を行うために必要なコードがプリロードされています。このコードは、CN0359-SourceCode.zipファイル内のCN-0359 Design Support Packageに含まれています。
CN-0359のユーザ・インターフェースは、直感的に操作できる使いやすいインターフェースです。すべての入力は、デュアル機能プッシュボタンまたはロータリ・エンコーダ・ノブを使って行います。エンコーダ・ノブは時計方向または反時計方向に回すことができ(メカニカル・ストップはありません)、プッシュボタンとしても使用できます。
図12はEVAL-CN0359-EB1Zボードの写真です。LCDディスプレイとエンコーダ・ノブの位置が分かります。

導電率セルとRTDを接続後に、ボードの電源を入れてください。LCDスクリーンの表示が図12のようになります。
エンコーダ・ノブを押して設定メニューを表示し、図13に示すようにEXC Voltage(励起電圧)、EXC Frequency(励起周波数)、TEMP Coefficient(温度係数)、およびCell Constant(セル定数)を入力します。

ノブを回すとカーソルが上下に動き、さまざまなパラメータを選択できます。
カーソルを EXC Voltage に合わせ、カチッと音がするまでノブを押します。カーソルを数値の最初の桁に合わせ、ノブを回して値を設定してください。ボタンを押すとカーソルが点滅します。ノブを回して数値を変更し、希望の数値に合わせたらノブを押します。数値のすべての桁を設定したら、Save(保存)にカーソルを合わせてボタンを押し、設定を保存します。
同じプロセスを続けて、EXC Frequency、TEMP Coefficient、およびCell Constantの値を設定します。
すべての定数を設定したら、RETURN TO HOME(ホームへ戻る)を選択してノブを押してください。以上で測定準備は完了です。
許容範囲外の値を入力するとブザーが鳴ります。
導電率セルの接続が間違っている場合は、スクリーンにSensor Incorrect(センサーが間違っています)と表示されます。
RTDの接続が間違っている場合は、RTD Incorrect use 25°C(RTDが間違っています。25℃を使用してください)と表示されます。RTDが接続されていなくても測定は可能ですが、25℃を補正温度として使用してください。
システムがRTD(Pt100またはPt1000)の抵抗値と構成(2線、3線、または4線)を検出できるように、電源を入れる前にRTDが接続されていることを確認してください。
バリエーション回路
CN-0359に使われているシステムは、ADuCM360高精度アナログ・マイクロコントローラを使用して高度に集積化された導電率測定を実現しています。
ディスクリートADCを使いたい場合は、AD7794 24ビットΣ-Δ ADCが適しています。
回路の評価とテスト
この回路は、EVAL-CN0359-EB1Z回路ボード、外部電源、導電率セル、およびRTDを使用しています。
必要な装置
以下の装置類が必要です。
- EVAL-CN0359-EB1Z回路ボード
- 6V電源または電源アダプタ(EVAL-CFTL-6V-PWRZ)
- 導電率セル
- Pt100またはPt1000 2線、3線、または4線RTD(RTDが接続されていない場合、導電率測定は25℃を基準とします)
セットアップ
評価用回路のセットアップは以下の手順で行ってください。
- 以下に従って導電率セルを接続します。
a. 4線セル:外部電流電極をJ5のピン1に、最も近い内部電圧電極をJ5のピン2に接続します。2番目の外部電流電極をJ5のピン4に、最も近い内部電圧電極をピン2に接続します。.
b. 2線セル:一方の電極をJ5のピン1とピン2に、もう一方の電極をJ5のピン3とピン4に接続します。
c. シールド付き導電性セルの場合は、J5のピン5にシールドを接続してください。 - 以下に従ってRTDを接続します(RTD使用時)。
a. 4線RTD(図5を参照):正の電流励起ワイヤをJ3のピン1に、正の電圧検出ワイヤをJ3のピン2に接続します。負の電流励起ワイヤをJ3のピン4に、負の電圧検出ワイヤをJ3のピン3に接続します。
b. 3線RTD(図6を参照):正の電流励起ワイヤをJ3のピン1に接続し、負の電流励起ワイヤをJ3のピン4に接続します。負の電圧検出ワイヤはJ3のピン3に接続してください。
c. 2線RTD(図7を参照):一方のRTDワイヤをJ3のピン1に、もう一方をJ3のピン4に接続します。
d. RTDワイヤがシールドされている場合は、J5のピン5にシールドを接続します。 - 6V電源(EVAL-CFTL-6V-PWRZ)をEVAL-CN0359-EB1Z回路ボードのJ1に接続します。
- EVAL-CFTL-6V-PWRZを接続することによって電源をオンにし、次にEVAL-CN0359-EB1Z回路ボード上のボタンを押します。
- 「ソフトウェアの操作とユーザ・インターフェース」の項に示す手順に従って、EXC Voltage、EXC Frequency、TEMP Coefficient、およびCell Constantの各パラメータを入力します。
- メインスクリーンに戻り、ADuCM360がバッファをフラッシュして導電率と温度を表示するのを待ちます。スクリーンにエラーが表示されてブザーが20回以上鳴る場合は、センサーの接続を確認してください。
プロトタイプ開発での接続
EVAL-CN0359-EB1Zは、EVAL-CFTL-6V-PWRZの6V電源を使用するように設計されています。EVAL-CN0359-EB1Zを使用するために必要なのは、電源、外付け導電率セル、およびRTDだけです。
EVAL-CN0359-EB1ZにはRS-485コネクタJ2があり、これによりPCとボードを接続することができます。コネクタJ4は、ADuCM360のプログラミングとデバッギングを行うためのJTAGインターフェースです。
図14は代表的なPC接続図で、RS-485/RS-232アダプタを使用しています。
